研究課題
基盤研究(A)
本研究は、将来のHST飛行の実現にあたり、機体組込みという特徴的な形態をとる水素気体燃料の超音速燃焼推進システムを取り上げ、エンジン排気と高層大気との熱化学反応流体干渉による環境汚染物質(主としてNOx)生成に焦点をあて検討した。理論解析においては、水素-酸素-窒素系の化学反応を数値解析するにあたり、その計算の硬直性(Stiffiness)に対処する計算方式を提案し、これを排気ノズルの非平衡反応流れに適用し有益性を確認した。その結果、これまで無視されていたノズル内部での反応が機体外部を利用する大気への膨張過程を通じて、オゾン反応連鎖物質の生成に係わることが捉えられた。実験解析においては、スペースチャンバー内に高層大気環境(圧力及びオゾン状態)を模擬設定し、これに2Dスリットから調圧したNOガスを音速噴射させた。ノズル後流の可視化(シュリーレン法及びLIF法)の結果、噴射流れの衝撃波構造や付随する密度勾配、さらにNO数密度の空間分布などが明らかにされ、オゾン雰囲気の大気混合領域でオゾン-NO化学反応によるNOx濃度の変化(減少)が確認された。
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