研究概要 |
パーティクルガン法を用いて活性酸素消去酵素(SOD)遺伝子をセントポ-リア‘リタリ'に導入する際の導入条件および培養条件を検討し,形質転換植物体を作出した.得られた形質転換植物体を形質転換ハウス内で育成し,低温および強光下での耐性について評価した.その結果,SOD導入セントポ-リアは3℃の低温および70,000lxの強光下で耐性を持つことが明らかとなった.さらに,これらの遺伝子を導入したセントポ-リアは低温および強光に対する耐性を持つので,今後育種素材としての利用についても検討が必要である.また,SOD遺伝子導入植物体が作出されているタバコの形質転換体についてはin vitroの条件下で-3℃の低温に耐性があることを確認した. キクの成長点にパーティクルガン法を用いて金粒子を導入した場合,シュートが大量に発生することが認められ,パーティクルガン法が形質転換植物体の大量繁殖法としても用いられる可能性が示された.同様の現象はセントポ-リアの葉身についても確認されている. さらに,イネから得られた活性酸素消去系に関係するグルタレドキシンのcDNAの構造決定,Plastid型SODおよび細胞質型APX(アスコルビン酸ペルオキシダーゼ)のcDNAの単離を行った.あわせて,帯化に関連する遺伝子を単離するためにシロイヌナズナのT-DNA挿入変異株を用いた解析を行っている.現在,挿入領域の近傍700bpの遺伝子配列が明らかとなった. 活性酸素消去系には複数の酵素が関連しているため,SOD導入だけでは活性酸素の消去が十分に行われない可能性がある.そこで,得られたSOD形質転換体に単離されたイネ由来のAPXやグルタレドキシンの遺伝子を導入し,そのストレス耐性について評価を行う予定である.
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