研究課題/領域番号 |
07406006
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上野川 修一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50011945)
|
研究分担者 |
戸塚 護 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70227601)
八村 敏志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40238019)
飴谷 章夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50201900)
|
キーワード | 経口免疫寛容 / アナログペプチド / T細胞 / 抗体産生 / 免疫抑制 / 消化耐性 / β-ラクトグロブリン / II型コラーゲン |
研究概要 |
(1)抗原分子のアミノ酸置換アナログの利用 ウシβ-ラクトグロブリンの119-133残基ペプチド(p119-133)の1残基置換アナログであるD129S(^<129>Asp→Ser)とR124Q(^<124>Arg→Gln)は、p119-133特異的CD4^+T細胞クローンの抗原に対する増殖を抑制する活性を示した。D129Sはマウス生体内でp119-133に対する免疫応答を抑制する活性を示した。さらに強い抑制効果を得るためD129SとR124Qの併用を試みたところ、生体内でT細胞応答は抑制されたが、抗p119-133特異抗体の産生は全く抑制されずむしろ増加した。抗p119-133特異抗体はR124Qに対しては交差反応したが、D129Sに対しては反応しなかったことから、抑制できない理由はR124Qの投与によってp119-133特異的なB細胞が活性化されたためであると推察された。自己抗原やアレルゲンに対する抗体産生の抑制を目的とする場合、病因となる抗体と交差反応しないアナログペプチドを選択する必要があることが明らかとなった。 (2)経口免疫寛容の利用 上記アナログペプチドの経口投与の効果を検討したところ、経口投与による免疫応答抑制効果は認められなかった。これには、抗原の消化酵素による分解の影響が考えられた。そこで、p119-133のアナログペプチドを小腸消化液と反応させ消化耐性アナログを検索したところ、R124K(^<124>Arg→Lys)にその活性を見出した。また、消化管以外の粘膜面からの抗原投与によっても免疫寛容が誘導されることから、消化の影響を除外できる、p119-133の経口腔粘膜投与、II型コラーゲン253-272残基ペプチドの経鼻粘膜投与による免疫寛容誘導能を検討した。その結果、経口投与の場合と比較して少量の投与で免疫寛容が誘導され、これらの投与法が効果的であることが示された。
|