研究課題/領域番号 |
07406011
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐々木 康三 筑波大学, 社会工学系, 教授 (30003073)
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研究分担者 |
丸山 義皓 筑波大学, 名誉教授 (40026472)
山田 直志 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (10210460)
橋本 昭洋 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (10143158)
樋口 貞三 筑波大学, 農林学系, 教授 (50003752)
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キーワード | 国民経済の変動 / 国内総支出の変動 / 雇用変動 / 家計部門 / 自己雇用部門 |
研究概要 |
農家、都市自営家計および家計内生産をいとむ勤労者家計は、意図したものはないであろうが、私人の資格でケインズ型の国民経済安定化政策を講じているという観察がある。丸山等(1995)は自己雇用生産体理論および効率賃金仮説をもちいて、この作用の存在を立証しているが、わが国の国民経済計算および労働力統計をもちいて、この理論の妥当性の検証をこころみるのが、この研究の今年度の課題である。 主として企業設備投資の変動によってひきおこされる国内総支出の変動において、政府支出は、その9%あまりを、公的資本形成三部門はあわせて22%あまりを相殺する作用をもち、これらの諸部門はケインズ型の経済安定化政策を意図して運営されていることがうかがわれる。他方、非耐久財およびサービスに対する支出を中心とする家計消費ならびに家計住宅投資は、企業設備投資の変動に起因する変動の24%あまりを相殺し、政府支出による相殺作用の2.5倍に達し、公的資本形成三部門による作用を上まわる相殺作用をもっている。ただ、家計による耐久財および半耐久財に対する支出は、企業設備投資の変動に起因する変動を13%ほど増幅する作用をもつために、家計によるこのような安定化作用の動向は、家計消費のサービス化および耐久財多用の相対的動向に依存する。 生産年齢人口変動の2倍に近い男子雇用者の変動は、その52%あまりを女子家族従業者の変動によって、46%あまりを男子非労働力層の変動によって相殺される。他方、女子雇用者の変動の93%あまりは女子非労働力層の変動によって相殺される。このような男女間の非対称性はあるが、その変動の大部分を自己雇用生産に従事する階層の変動によって相殺されることに変りない。このように、自己雇用家計は物財需要、雇用の両面において国民経済変動を安定化する作用をもっていることが統計的に確認された。
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