研究分担者 |
小俣 吉孝 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (10132987)
豊田 裕 帯広畜産大学, 原虫病分子免疫研究センター, 教授 (90050418)
五十嵐 郁男 帯広畜産大学, 原虫病分子免疫研究センター, 助教授 (80159582)
長澤 秀行 帯広畜産大学, 原虫病分子免疫研究センター, 教授 (60172524)
鈴木 直義 帯広畜産大学, 名誉教授 (10003071)
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研究概要 |
1.原虫を直接殺滅しうる毒性の極めて低いペプチドの合成に成功した。現在のところ世界中から類似物質の発見報告はない。 2.本ペプチドが試験管内培養細胞に対して極めて毒性の低いことを証明した。また,本ペプチド添加により細胞内寄生原虫の細胞内侵入阻止および増殖抑制効果が観察されることを明らかにした。本ペプチドの殺原虫作用が直接虫体に対する障害性の結果なのか,あるいは宿主細胞の免疫賦活作用による原虫殺滅効果なのかについては,さらなる検討が必要である。 3.マウスを用いた感染実験においても,合成ペプチド投与により直接的な殺原虫作用と間接的な抗原虫作用が認められた。 4.本研究は緊急研究課題として企画立案し,本研究期間内に本ペプチドを根幹にして基礎と応用の両面から感染死を必須とする原虫症の治療ならびに発病予防,そして生体内作用機序について研究分担者を3グループの研究課題細目に分け総合的に研究解析を進めているが,現時点で各グループ間での実験系の再評価を目的とした研究討論は順調に進展している。 従来,トキソプラズマあるいはネオスポーラ等の細胞内寄生原虫に対しては,感染宿主細胞には毒性が低く,細胞内の原虫に対してのみ殺滅作用のある生理活性物質の発見が求められていた。本研究における合成ペプチドの新規開発は,他の類例のない極めて画期的な免疫賦活物質として世界的に高い評価を受けている。さらに,非特異的な免疫調整物質である本ペプチドは原虫感染症に対する広スペクトルなワクチン候補としての評価も高く,実用化へ向けての研究推進が望まれている。今後,本ペプチドの実用化に際しては,作用機序についての詳細な分子免疫学的検討が必要と思われる。また,本ペクチド投与による毒性の有無についても,引き続き本研究グループによる多面的な評価系が必須である。
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