研究課題/領域番号 |
07406014
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
斎藤 篤志 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (10002263)
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研究分担者 |
小俣 吉孝 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (10132987)
藤崎 幸蔵 帯広畜産大学, 原虫病分子免疫研究センター, 教授 (00292095)
五十嵐 郁男 帯広畜産大学, 原虫病分子免疫研究センター, 助教授 (80159582)
長澤 秀行 帯広畜産大学, 原虫病分子免疫研究センター, 教授 (60172524)
鈴木 直義 帯広畜産大学, 原虫病分子免疫研究センター, 名誉教授 (10003071)
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キーワード | Neospora caninum / Toxoplasma gondii / 感染防御 / ワクチン |
研究概要 |
世界最大の感染症にも拘わらず、原虫病に対する治療・予防薬の開発は、原虫が真核生物であるため、困難を極めている。そこで、宿主動物に毒性が無く、原虫を直接殺滅しうる殺原虫物質の発見が世界中で望まれている.本研究チームは、原虫病治療において、原虫を直接殺滅しうる毒性の極めて低いペプチドの合成に成功した。 (1) 本ペプチドには細胞内寄生原虫の細胞内侵入阻止および増殖抑制効果が観察されることをトキソプラズマおよびネオスポーラ原虫を用いて明らかにした。また、in vitro培養細胞を用いた実験から、本ペプチドが宿主細胞に対して極めて毒性の低いことを証明した。 (2) マウスを用いた感染実験から、合成ペプチド投与による感染防御効果が認められた。原虫の感染経路および合成ペプチドの投与経路の検討から、本ペプチドの殺原虫作用は、原虫に対する直接障害性というよりは、むしろ宿主の免疫反応を増強することにより、感染抵抗性を賦与する可能性が示唆されたため、BRL(免疫調整物質)としての機能が有力視された。 (3) 免疫賦活作用の機序を解明することは、結果として他の感染症に対する防御反応の解明および治療法の確立に応用することができる。従って、バペシア、ネオスポーラ、トリパノソーマ、クリブトスポリジウム原虫に対する感染防御効果が期待される。 (4) 原虫感染防御に係わる原虫分子を同定する目的で、原虫遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの作成を試み,トキソプラズマ原虫主要抗原であるP30トランスジェニックマウスの作成に成功した。 本研究における合成ペプチドの新規開発は、他に類例のない極めて画期的な免疫賦活物質として世界的に高い評価を受けた。また、原虫病に対する治療・予防薬については、非特異的なBRLが有力視されている。従って、本ペプチドは原虫感染症に対する広スペクトルなワクチン候補としての評価も高く、実用化へ向けての更なる研究推進が望まれる。今後、本ペプチドの実用化に際しては、生体内における作用機序についての詳細な分子免疫学的或いは発生工学的検討が必要である。
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