研究分担者 |
西條 好迪 岐阜大学, 流域環境研究センター, 助教授 (00021725)
安藤 辰夫 岐阜大学, 流域環境研究センター, 助教授 (10021700)
篠田 成郎 岐阜大学, 流域環境研究センター, 助教授 (80187369)
湯浅 晶 岐阜大学, 流域環境研究センター, 教授 (10109499)
大久保 忠且 茨城大学, 理学部, 教授 (90115535)
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研究概要 |
流域の水質形成・維持の機能は小集水域ごとの地理的要因や植生のような土地被覆要因などに依存するとの観点から,いくつかの小集水域を内包する広域的な森林流域を対象とした渓流水質の観測を木曾川水系飛騨川最上流部で行った.水質は観測期間内で変動したが,その幅は集水域ごとに異なっていた.しかし合流・流下するにつれて測点間の相違は小さくなり,平均化された.水質特性値と気象数値との相関の分析からは,水質に対する気象要因の影響の強さが集水域ごとに異なっていることが示された.これらの事実から集水域ごとに異なる水質形成特性の存在が示唆される.また流量・水質が小集水域ごとの土壌型面積割合に大きく依存していることがあきらかになった.営林署森林管理簿の植生データを50mメッシュ形式に変換し,この情報および国土地理院50mメッシュ地理情報と現地観測による水質との関係を解析した.その結果,水温,pH,電機伝導度,紫外部吸光度,全窒素,溶存態窒素,全リン,溶存態リン,アンモニア態窒素,燐酸態リン,濁度の全水質項目が針葉樹の面積割合として把握された植生の分布に大きく影響されていることが明確に示された.樹種ごとには,アンモニア態窒素と燐酸態リンではミズナラやコメツガから,全窒素,溶存態リン,全リンではカンバからの影響が大きかった.pHに対してはミズナラとカンバは逆の作用を及ぼすという興味ある事実もわかった.そのほか家畜飼育現況の調査,遠隔調査への対応づけのための植生被覆度測定,ササの吸収窒素測定用のサンプル採取,千曲川最上流部の水質分析用サンプルの採取等を行ったが,これらの結果は次年度に持ち越される.
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