研究課題/領域番号 |
07407001
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柴田 洋三郎 九州大学, 医学部, 教授 (90037482)
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研究分担者 |
西井 清雅 九州大学, 医学部, 助手 (20264020)
稲井 哲一朗 九州大学, 医学部, 助手 (00264044)
倉岡 晃夫 九州大学, 医学部, 助手 (30253412)
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キーワード | ギャップ結合 / コネキシン / コネキシン43 / コネキシン45 / コネキシン40 / リン酸化 / エナメル形成 / 卵胞 |
研究概要 |
本年度の研究では、ギャップ結合の機能構造について、切片法、凍結割断法、ディープエッチレプリカ法、免疫標識法、膜分離精製、遺伝子クローニング法などを用いて解析をすすめ、種々の組織・細胞種およびその機能状態変動に伴う変化を解析し次のような研究成果をえている。 (1)ラット歯芽形成過程においてエナメル芽細胞層のギャップ結合では、未分化細胞間に存在するCx43がエナメル形成直前に一旦消失し、分泌機能の発現とともに再び出現するという、動的変動を示すことを明らかにした。 (2)ラット卵胞顆粒膜上皮間のギャップ結合ではCx43とCx45がとくに初期に混在し、Cx43は成熟とともに増加するが、排卵後の黄体では急速に消失すること、この間リン酸化状態の変化が伴うこと、Cx40は卵胞にはなく血管内皮に限局することなどを免疫ブロット、mRNAブロット、免疫蛍光標識から明らかにした。 (3)妊娠ラットの乳腺においては、腺細胞間にCx32とCx26が混在し、分娩後急速に増加すること、周辺の筋上皮細胞間にはCx43が分布し、分娩直後からmRNAと蛋白レベルで急激に増加を示すこと、mRNAレベルは一日で低下しはじめるのに対し蛋白レベルでの増加は数日間持続し、この間Cx43のSDS-PAGEバンドが43KDから45KDへと変動すること、両バンドともに免疫沈降精製後のフォスファターゼ処理でいずれも40KDへと低下することから、分娩後にCx43が第一リン酸化状態(P1)から第二リン酸化状態(P2)へと遷移することが判明した。 以上の結果より、ギャップ結合の機能構造として分子種による調節に加えて、卵顆粒層や乳腺筋上皮にみられるように、リン酸化状態が重要な役割をはたす可能性をin vivo組織の系においてはじめて確認することができた。 未知のコネキシン蛋白のクローニングは、とくに心房洞房結節についてRT-PCR法により解析を進めている。これまでにCx37、Cx40、Cx45、Cx43が検出され、このうちCx37は血管内皮に限局している。新たなコネキシン・シークエンスの検出には成功していない。
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