研究課題/領域番号 |
07407001
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柴田 洋三郎 九州大学, 医学部, 教授 (90037482)
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研究分担者 |
西井 清雅 九州大学, 医学部, 助手 (20264020)
稲井 哲一朗 九州大学, 医学部, 助手 (00264044)
中村 桂一郎 九州大学, 医学部, 助教授 (20172398)
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キーワード | ギャップ結合 / コネキシン / Cx43 / Cx45 / Cx40 / Cx37 / リン酸化 / 小腸ペースメーカー |
研究概要 |
1)synthstic peptide を抗原としてウサギで作成した抗 Cx37 特異抗体を用いて、免疫組織化学的に、Cx37がラット気管において発現していることを確認した。また、共焦点レーザー顕微鏡をもちいた免疫二重染色標本の観察により、Cx37陽性斑がvimentin陽性部位ではなくdesmin陽性部位に一致し、von Willebrand Factorも認めないことから、Cx37 発現は平滑筋細胞であることが示された。また、気管平滑筋における Cx37 の発現は生後1週の新生仔では認められず、生後3週より平滑筋細胞の辺縁にわずかに発現し、成長とともに増加した。Northern blot analysisにより、Cx37のmRNAの存在は確認したが、生後変化は確認できなかった。一方、Cx43は生後1週で既に気管平滑筋に発現し、Cx37とCx43はそのほとんどが共存していた。Cx40との共存は確認されなかった。他組織の平滑筋におけるCx37発現の検索では、大動脈の心臓に近い部位と精索動脈の中膜平滑筋に検出した。しかし、食道、胃、小腸などの消化管および子宮の平滑筋には検出されなかった。これらの結果より、Cx37の平滑筋における発現は、部位および成長により異なることが示唆された。 2)モルモット大腸壁において、Cx43の分布局在について、共焦点レーザー顕微鏡をもちいて免疫細胞組織学的に観察、検討した。Cx43 陽性斑はモルモット大腸の粘膜下層と筋層の境界部に沿って、断続的な集合として認められた。vimentin、actin、c-Kitとの二重染色実験をおこない、観察した範囲では、すべての Cx43陽性斑がvimentin陽性部位と重なり、また、actinについては免疫化学およびphalloidinを用いた染色いずれにおいても共存は見らなかった。さらに、Cx43の発現はc-Kit陽性細胞に一致することが示され、vimentin陽性細胞の一部をなすことが確認された。Cx40やCx45の免疫陽性所見は得られなかった。電顕による観察では、粘膜下層と筋層の境界部に見られる線維芽細胞様細胞に大きなギャップ結合が数多く観察された。以上の結果より、大腸においてCx43が消化管運動のペースメーカ細胞と考えられている間質細胞に発現され、細胞性ネットワーク形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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