研究概要 |
[1]ラット下位脳幹部系:(1)孤束核微量注入ドーパ30ngの降圧・徐脈応答はGABA3-30ngにより用量依存性に,また取り込み阻害薬ニペコチン酸100ngにより抑制,GABA_A拮抗薬ビククリン10ngにより増強され,微量透析ドーパ基礎遊離はGABA_A作動薬ムシモール30μMにより抑制,ビククリン30μMにより促進され,一方,ドーパ1-100nMは用量依存性に神経性GABAを遊離した.(2)成熟齢高血圧自然発症ラット(SHR)の吻側腹外側延髄(C1)微量透析系テトロドトキシン(TTX)-感受性神経性ドーパ基礎遊離は同週齢ウイスター京都ラット(WKY)に比し,一部ドーパ脱炭酸酵素活性減弱を含み,亢進,微量注入ドーパ10-600ngの低用量側の昇圧・頻脈応答に対するSHRの感受性はWKYに比し亢進,一方,SHR尾側腹外側延髄(A1)TTX-感受性神経性ドーパ基礎遊離は消失,これらの変動はSHRの高血圧維持に関与する.(3)孤束核電気破壊はA1ドーパ含量のみを選択的に減少,C1同含量のみの減少傾向を生じ,A1微量透析フェニレフリン圧受容器刺激誘発性ドーパ遊離は孤束核電気破壊により消失,大動脈神経刺激誘発性同遊離はA1内局所性ドーパ合成阻害により消失,大動脈神経刺激に対する降圧応答はドーパメチルエステル(DOPA ester)A1微量注入により拮抗され,ドーパ性,各々単シナプス性の圧受容器-大動脈神経-孤束核-尾側腹外側延髄への圧受容反射情報伝達経路の存在が示唆された.(6)孤束核微量注入,線条体微量透析によりDOPA esterに比し、拮抗活性はより強く、ドーパへの変換はより少ないドーパのシクローペンチルおよび-ヘキシルエステル体を見い出し,安定な競合的拮抗薬の開発を続行している.さらに,(7)ドーパ受容体のcDNAクローニングの検討;(8)孤束核降圧部位単離のホールセルパッチクランプによるドーパ脱分極作用の検討等を継続している.[2]線条体系:微量透析プローブを介したドーパ30-100nMは神経性グルタミン酸を遊離,D-ドーパとドパミン100nMは無作用,無作用10nMは側脳室内6-ヒドロキシドパミン投与パーキンソン病モデルにおいてグルタミン酸遊離を感作,亢進した.[3]末梢マイスナー神経叢:ドーパ30nMは興奮性シナプス後電位を軽度増大,fura-2によるCa^<2+>流入を軽度増大し,細胞内情報伝達の手がかりを示した.
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