研究概要 |
内向き整流カリウムチャネル(Krec)ファミリーは、古典的内向き整流性(IRK)、G蛋白制御性(GIRK)、ATP感受性(K_<ATP>)およびATP抑制性(K_<AB>)に分類することができる。本年度において我々はGIRKファミリーに属する新たなクローンの単離を行い、報告した(Isomoto S. et al. Biochen. Biophys. Res. Commun. 218:286,1996)。このクローンはGIRK2のsplice variantであり、GIRK2Bと名付けた。GIRK2BはGIRKファミリーの別のサブユニットであるGIRK1とのヘテロ重合体としてG蛋白制御性カリウム(K_G)チャネルを形成するが、他のGIRKファミリーに比べて広範囲な組織に発現が認められており、組織によってはその他の機能を有している可能性が示唆された。また、GIRK1に特異的な抗体を用いて脳を免疫染色するとシナプス前ニューロンが染まるという所見を得た(Morishige K. et al. Biochen. Biophys. Res. Commun. 1996,in press)。これはGIRK1の中枢における調節のメカニズムがシナプス前抑制であることを強く示唆している。さらに、この抗体を用いた生化学的検討により、前脳におけるK_GチャネルがGIRK1およびその結合蛋白との4量体として形成されることも推測された(Inanobe A. et al. Biochen. Biophys. Res. Commun. 217:1238,1995)IRKファミリーに属する3種類のクローン(IRK1.2.3)についてin situ hybridizationを用いて中枢神経系での発現分布を検討した。その結果、これらIRKファミリーは脳内においてそれぞれ異なった発現分布を示しており、それぞれの中枢における機能調節も異なっていることを強く示唆している(Horio Y. et al. FEBS Lett. 379:239,1996)。
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