研究概要 |
平成7年度は,長波長紫外線の照射量による変化を検討し,ヒト好中球に照射する長波長紫外線照射量を設定した。その結果,ヒト好中球に対する長波長紫外線の照射量として,0.2,0.4,0.6,1.0J/cm^2の4種類を設定し,0.2-0.4J/cm^2を少量,0.6-1.0J/cm^2を大量とななすこととした。これは,青森県の一般住民の末梢環境血液中の好中球が最大0.5J/cm^2程度の紫外線に曝露されていることに裏づけられている。平成8年度は,健常人から採取した好中球に実際に、長波長紫外線を設定された条件で照射し、同時に刺激剤(オプソニン化ザイモザン,phorbol 12-myrostate 13-acetate),発光剤(ルミノール,ルシゲニン)を併用して発光させその発光量より好中球に産生する活性酸素種の量を推定した。その結果,長波長紫外線照射により好中球細胞膜のレセプターレベルあるいはそれ以降のprotein kinase C活性化postreceptorレベルまでの刺激伝達系が阻害される可能性が示唆された。またレセプター活性化に引き続く活性酸素種産生系をプロモートしているprortein kinase C以下の情報伝達系においては,少量の長波長紫外線照射ではprotein kinase C,superoxide dismutaseおよびnyeloperoxidaseの活性は保たれているが,大量の長波長紫外線照射ではprotein kinase C活性が低下しているものと考えられた。平成9年度は,長波長紫外線照射による血清オプソニン化活性の変化,及び好中球の遊走能の変化につき検討する予定である。
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