研究課題/領域番号 |
07407015
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
井廻 道夫 自治医科大学, 医学部, 教授 (70134228)
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研究分担者 |
安藤 量基 自治医科大学, 医学部, 助手 (20265276)
金子 隆志 自治医科大学, 医学部, 講師 (10254913)
森山 貴志 自治医科大学, 医学部, 講師 (10240706)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / C型肝炎 / 細胞障害性T細胞 |
研究概要 |
C型肝炎ウイルス感染における特異的細胞障害T細胞の役割を明らかにする目的で、HLAB44を有する慢性C型肝炎患者末梢血リンパ球のC肝炎ウイルスに対する細胞障害性T細胞応答を検討した。 HLAB44拘束性C型肝炎ウイルス特異的細胞障害性T細胞がHLAB44を有する慢性C型肝炎患者末梢血中に存在し、そのような細胞障害性T細胞はC型肝炎ウイルスコア蛋白アミノ酸残基88-96を最小エピトープとして認識することは既に明らかにした。今回は、まずHLAB44を有する慢性C型肝炎患者30例の血中C型肝炎ウイルスの遺伝子型の検討を行い、上記が細胞障害性T細胞が存在しうると考えられる1b型および2a型のC型肝炎ウイルスに感染している患者の選択を行った。1b型および2a型のC型肝炎ウイルスに感染している患者は26例存在し、C型肝炎ウイルスコア蛋白81-100のアミノ酸配列の解析を行ったところ、内3例ではエピトープ内にアミノ酸変異が見られ、1例はエピトープの近傍にアミノ酸変異が存在した。そこで、アミノ酸変異のない22例について、末梢血C型肝炎ウイルスRNA量と細胞障害性T細胞応答との関係を検討した。細胞障害性T細胞は患者末梢血リンパ球をC型肝炎ウイルスコア蛋白81-100アミノ酸の20アミノ酸のペプチドで2回刺激することにより誘導した。細胞障害性T細胞の誘導は22例中6例の患者で認められた。血中C型肝炎ウイルスRNA量との関係を検討すると、細胞障害性T細胞が誘導できた6例中5例で血中ウイルス量は低値であり、血中ウイルス量の多かった15例で細胞障害性T細胞が誘導できたのは1例のみであった。この結果より、C型肝炎ウイルス感染においてはヒト免疫不全症候群ウイルスの感染の場合と同様に、細胞障害性T細胞がウイルスの増殖を抑制している可能性が考えられる。また、ウイルス量が増加すると細胞障害性T細胞応答は抑制される可能性がある。
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