研究課題/領域番号 |
07407018
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 淳 京都大学, 医学研究科, 教授 (10204976)
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研究分担者 |
下濱 俊 京都大学, 医学研究科, 助手 (60235687)
福山 秀直 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90181297)
梶 龍兒 京都大学, 医学研究科, 講師 (00214304)
秋口 一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30115779)
柴崎 浩 京都大学, 医学研究科, 教授 (30037444)
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キーワード | ALS / TE法 / 大脳磁気刺激法 / PSTH / fasciculation / K^+チャネル / Multifocal Motor Neuropathy / グルタミン酸 |
研究概要 |
神経疾患のうちでも代表的な“難病"である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態解明と治療法開発のため国籍を越えた共同研究体制を確立し、前回の国際学術研究"筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態生理に関する多面的研究"(平成5〜6年度、研究代表者木村淳)により得られた知見をさらに発展させた。特にALSに特徴的なfasciculationが初期には大脳磁気刺激で誘発されるなどの新知見は本症の発症にグルタミン酸などによる興奮性神経細胞死が関与することを示唆しており、グルタミン酸阻害剤による治療の可能性が示された。本研究では、このALSにおける。fasciculationを通して神経変性の過程を追跡した。 1)幸原らは、大脳磁気刺激法を用いて随意的に発火している運動単位に対する影響を見ることにより、その発火確率の変動をPSTH(peristimulus time histogram)に表し、特に脊髄前角における上位および下位運動ニューロン間のシナプス伝導の効率を臨床的に評価する方法を開発した。これにより、ALSでは脊髄前角におけるEPSPが実効上著明に増大していると考えられ、グルタミン酸などによる興奮性神経細胞死がその病態と考えられた。 2)梶らは、英国Bostock教授とともにTE法の開発、臨床応用を進めるため、その正常値や記録法を確立し、その異常所見の解釈法について多くの知見を得た。ALSにおける異常がK^+チャネルの量的な異常のみならず質的な異常である可能性が示唆された。また、MMNの病変部位でK^+チャネルが不活性されている所見を見出し、ALSやMMNで共通して見られるfasciculationなどの興奮性の亢進を表す臨床症状は上述のグルタミン酸による機序の外にK^+チャネルの異常に基づく可能性も示唆された。 3)梶、幸原らは、前述の大脳磁気刺激法とTE法を用いて臨床試験中のリルゾールの投与前後で所見を比較したが有意の変化は認めなかった。
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