研究概要 |
本年度は、マウス胎仔皮膚にみられるαβT細胞、γδT細胞についてVβ、Vδ鎖についての検討を行ない、それらが多様な細胞より成ることを明らかにした。さらにαEβ7、CD5、CD62L、HSAなどの発現について胸腺(胎仔)T細胞と比較し、皮膚にみられるこれらのT細胞は胸腺T細胞と異なる特徴をもつことを明らかにした。15日目胎仔マウス皮膚においてはRT-PCRによってRecombinase activating gene(RAG)-1およびRAG-2の発現を確認できた。これらのことから胎仔期の皮膚においてはT細胞の胸腺外分化がおこなわれていることが強く示唆された。更にこれまではC57Bl/6マウスについて検討してきたが、C57Bl/6以外のマウスの系統についても同様の結果を得ると共に、胎仔マウスの皮膚に幼若なマクロファージが存在することも明らかにされた。皮膚におけるサイトカイン発現については胎仔期皮膚の表皮と真皮で異なった発現のみられることも明らかにされた。ケラチノサイト(KC)由来のサイトカインと抗原提示細胞であるLC(ランゲルハンス細胞)との関係については、マウスのLCをpurifyすることに成功したのでKCの混入のないLCを用いてKC由来のサイトカインであるM-CSF,GM-CSF,TNF-αによるLCへの影響についても検討した。その際 抗原提示に重要な共刺激分子であるB7-1,B7-2,CD40への影響を検討した。その結果 M-CSF,GM-CSF,TNF-αがそれぞれ異なる増殖作用をLC上のB7-1,B7-2,CD40に対して有していることが明らかとなった。さらにこれらは、デキサメタゾンで抑制される、LC上のB7-1、B7-2、CD40に対しても異なる抑制阻害をかけることが示された。
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