研究課題/領域番号 |
07407035
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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研究分担者 |
尾崎 信弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (50211818)
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (60263084)
田中 明 京都大学, 医学研究科, 講師 (00240820)
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キーワード | 体外肝切除 / 拡大肝切除 / 人工血管 / 熱ショックタンパク / 肝温阻血耐性 / 障害肝 / 脂肪肝 / 四塩化炭素 |
研究概要 |
1) 担癌肝区域のNon-touch isolationによる残肝の体外摘出とその後の担癌区域の摘出、および残肝の再移植に伴う手術手技の開発はほぼ確立した。人工血管で再建したIVCへの肝静脈流出路の位置等に難点があったが、最終的に体外での人工血管側壁への直接吻合にて解決できた。現在、術後約4日間の生存を得られるに至っているが、血栓形成の問題を解決するために術後の抗凝固療法に改善の余地を残している。 2) 障害肝の保存に関してはCCl_4を投与する方法で腹水のない肝線維化モデルを作製、一方、4週間コリン欠乏食を与えたラットで脂肪肝モデルを作製した。これら2種類の障害肝モデルに対して熱ショック前処置による熱ショック蛋白72 (HSP72)の誘導がその後の致死的な30分の温阻血に対して耐性を与える事ができることを証明した。生存率は共に熱ショック群で90%以上となり、コントロール群の50%より有意に改善した。この保護効果は再灌流後の肝逸脱酵素の上昇抑制、肝組織ATP量の回復率でも有意差を示した。これより、Ex-situ手術による肝阻血障害をHSP72の誘導により軽減できる見通しがついた。 3) HSP72の誘導が熱ショックそのものでなく、15分間の短時間のプリングル法を肝に負荷することで、肝に特異的に発現させられることもつきとめ、この方法で誘導した場合にも温阻血に対する保護効果は同等に得られることが証明された。 4) 熱ショック前処置後のHSP72量がの時間経過とともに変化し、最大発現が12時間から48時間であり、温阻血耐性の指標としての動物の生存率が熱ショック蛋白質の発現量と相関する事が証明された。 5) HSP72の誘導が、free-radicalによる障害の軽減である傍証として、熱ショック前処置後のラットにCCl_4による急性肝不全を誘発したところ、動物の生存率が有意に改善されることと、逸脱酵素の放出抑制、組織学的な肝壊死の軽減がみられることがわかった。
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