研究課題/領域番号 |
07407036
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井街 宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10010076)
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研究分担者 |
満渕 邦彦 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 教授 (50192349)
藤正 巌 政策研究大学院大学, 政策研究プロジェクトセンター, 教授 (30010028)
阿部 祐輔 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90193010)
鎮西 恒雄 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20197643)
馬場 一憲 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30181035)
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キーワード | 人工心臓 / 完全埋込型人工心臓 / 血液ポンプ / 制御方法 / 血液適合性 / 溶血 |
研究概要 |
本研究は、新しい原理の完全人工心臓(流れ変換型拍動流完全人工心臓と波動型完全人工心臓)に対して、1)解剖学的に適合するよう形状的な改良、2)血液適合性(特に抗血栓性と抗溶血性)の改善、3)流れ変換型拍動流完全人工心臓では静脈血と動脈血の混合の原因の解析とそれを最小限にするポンプ機構の開発、4)あらゆる状態に対する性能や耐久性の評価とその改良、5)エネルギー消費の解析と効率の改善、6)システム全体の設計、7)制御方法の検討、8)動物実験による病態生理の解析の問題点の原因や機構を解明し、それらを改善することによって体内に埋め込んで長期の生存実験が可能なシステムを完成さすことを目的とする。本年度は過去2年の研究成果を集大成して以下の研究を行った。 1 波動型完全人工心臓の改良 波動型完全人工心臓の破損の原因である膜の成型方法を改良した。膜を丈夫にしてピンホールの原因となる気泡の発生を防止するために、従来のKIIIのみで成型する方法を止め、ベースをCardiomatで成型し最後に血液接触面をKIIIで被覆する方法に改めた。これによって動物実験においてもポンプ破損がみられなくなった。 2 波動型完全人工心臓の溶血特性の改良 溶血を減少させる目的で揺動運動を行う円盤の周辺のみ(右:3mm、左:0.5mm)柔らかい材質にした。ヤギ新鮮血を用いたin-vitroの溶血試験では、現在臨床に用いられている遠心ポンプ(バイオポンプ)とほぼ同等の溶血特性が得られた。 3 制御方法の確立 波動型完全人工心臓では、左右流量の不均衡による左房圧上昇、左右心房の張り付きによる流量低下が死因となっているため、これらを防止するための制御ロジックを開発した。また、連続流から準拍動流、完全拍動流まで任意の流量波形が得られるような制御方法も確立された。 4 波動型完全人工心臓の動物実験 体重40から50Kgのヤギの胸腔内に波動型完全人工心臓を埋め込んだ慢性実験を行った。この結果、最長10日と20時間の生存が得られた。この例では機械部品の摩耗が死因となったが、血栓形成やポンプの破損もなく、この方式の完全埋込型人工心臓の将来の可能性がほぼ確立された。
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