平成7年から平成10年までの4年間に得られた成果を要約すると、次のとおりである。 1. ヒト胎児頭蓋由来骨芽細胞株(SV-HFO)へのデキサメサゾン添加による分化の促進、Type I、IVコラーゲン、ラミニン、フィブロネクチンの追加添加による分化の促進の増強、TGFβ_1添加による分化の抑制の証明 2. ヒト骨内シアル酸含有蛋白の骨形成性悪性腫瘍における局在の証明 3. B7遺伝子導入骨肉腫細胞(MSK-8G)への放射線照射による細胞ワクチンの作製、細胞ワクチンと抗癌剤MTX併用療法による抗腫瘍効果の増強、B7遺伝子ファミリー(B7-1、B7-2)のうち、B7-2導入細胞ワクチンによる腫瘍抑制効果の優位性の証明 4. 骨肉腫細胞株(HOS)へのhsp90遺伝子の導入と、hsp90高発現骨肉腫細胞(HOS)の増殖能低下の証明 5. ets群がん遺伝子ファミリー(EIAF、ets-1、ets-2)による細胞外マトリックス分解酵素TypeIVコラゲナーゼ(MMP-9)の誘導、EIAFの発現とC57BL/6マウス線維肉腫の肺転移能の増強の証明 6. 骨肉腫培養細胞(MSK-8G)のF344ラット脛骨骨髄腔移植モデルの作製、移植モデルの原発巣存在下でのMTX、ADM腹腔内投与が、肺転移巣の増殖を抑制することの証明 7. ヒト骨肉腫の予後不良と、Erbβ receptor family(Erbβ_2)非発現との相関関係の証明 8. 正常ヒト末梢血からLAK細胞(lymphokine activated killer cell)の分離、LAK細胞のNAC(N-acetyl cysteine)処理によるLAK細胞の延命、LAK細胞からTNF産生の増加の証明
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