研究課題/領域番号 |
07407043
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
藤原 直士 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (70181419)
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研究分担者 |
田中 永一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (80188284)
渡辺 逸平 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (00251819)
羽柴 正夫 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (30108047)
佐藤 一範 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (70126415)
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キーワード | 脳虚血 / 海馬切片 / 細胞内遊離カルシウム / 膜電位感受性色素 / 細胞内pH / 膜脱分極 |
研究概要 |
本年度は以下の検索を中心に研究を進めた。 1.ラット海馬切片に対する低酸素・無グルコースの負荷は、急峻な細胞内遊離Ca^<2+>上昇を生じ、この急峻な細胞内遊離Ca^<2+>上昇と神経細胞の不可逆性変性との関連が示唆されている。この細胞内遊離Ca^<2+>上昇は軽度の酸性潅流液(pH6.8-7.0)によって、その発生が遅延し、進行も緩徐となった。一方、軽度の低温(33℃)条件下では低酸素・無グリコースによる急峻な細胞内遊離Ca^<2+>上昇の発生までの時間が遅延するものの、その進行は速やかであり、細胞内遊離Ca^<2+>上昇に対する抑制作用は酸性条件とは異なることが示唆された。 2.NMDA、高カリウム、ベラトリジン、ウワバイン等による脱分極性刺激が誘起する細胞内pH変化を海馬切片を用いて検索した。これらの脱分極刺激は海馬CA1領域の細胞内酸性化を誘発するが、NMDA、高カリウム、ベラトリジンによる細胞内酸性化には解糖系の亢進による乳酸生成が重要な役割を果たしているのに対し、Ca^<2+>流入の影響は大きくない。一方、ウワバインによる細胞内酸性化はCa^<2+>流入の影響を強く受け、切片の乳酸含量には有意な変化が認められなかった。脱分極の機構によって細胞内酸性化の機序が異なることが示唆された。 3.膜電位依存性色素で染色したスナネズミの海馬切片を用い、電気刺激により誘発される神経興奮の伝播を画像化し、低酸素負荷、テトロドトキシン、各種ブロッカーによる神経興奮伝播の抑制を観察した。 4.スナネズミ前脳虚血モデルにおいて、4分間の虚血を負荷し、1日、3日後に海馬切片標本を作製し、膜電位依存性色素を用いて、それら海馬CA1領域における神経興奮の伝播を膜電位画像により観察した。虚血後1日後では神経興奮の伝播にとくに異常は認められなかったが、3日後では神経興奮の伝播は抑制され、とりわけ、錐体細胞層を越える伝播は極めて減弱し、神経細胞機能が障害されていることが示唆された。
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