研究分担者 |
宮川 絢子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40239356)
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00213885)
斉藤 史郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80170504)
馬場 志郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00051889)
村井 勝 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (90101956)
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研究概要 |
各種泌尿器科癌における腫瘍内異質性および増殖活性の検討は主にフローサイトメトリーによる検討が行われた。膀胱癌においては浸潤癌において高い増殖性が認められ、非浸潤癌との細胞生物学的差異が明らかとなった(Cancer Detection and Prevention, 19: 165-172, 1995)。また、表在性膀胱癌において再発を伴い浸潤癌へと移行するような癌におけるp53癌抑制遺伝子のmutationが高頻度に認められた(J. Urol., 153: 1711-1715, 1995)。さらに膀胱癌においてはG-CSFを中心としたサイトカインの産生が認められ、これら癌細胞が産生するサイトカインが自己の細胞の増殖促進を惹起するというautocrine growthの可能性が示された(Cancer Res., 55: 3438-3443, 1995)。これら事実は膀胱癌細胞において各種増殖因子がその浸潤・進展に密接に関連することを示すものであり、最少侵襲性治療確立の上で有用な知見となるものである。また、前立腺癌においては、tumor necrosis factor (TNF)が前立腺癌末期に特徴的である血管内幡種性凝固症(DIC)の原因となることが明らかとなり(Cancer Res., 55: 4881-4885, 1995)。前立腺癌末期症例の延命治療につながる知見となるものと考えられる。一方、精巣腫瘍細胞においては種々のchemical compoundに対し、その増殖および分化に影響があり、レチノイン酸、フォアスコリン、cAMPなどにより分化が誘導されるとともに増殖の抑制が生じることが明らかとなっている。このことは、精巣腫瘍に対する非抗癌剤治療への展望を開くものである。
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