研究概要 |
1,培養網膜色素上皮細胞の青色光照射による変化 これまでの研究から,網膜色素上皮細胞が強膜の細胞増殖を促進する何らかの因子を放出していることが示唆されている。一方,近視の発生,または強度近視性の網膜脈絡膜萎縮の増悪に青色光が関与していることが考えられる。そこで,網膜色素上皮細胞における成長因子の発現調節に青色光が関与しているかどうかを検討することが今回の計画に含まれている。 これに関連して,昨年度は,波長440nmの青色光を培養網膜色素上皮細胞に照射すると,電顕的に変性像が認められることを確認した。今年度は,その変性がおこる機序を電顕的に推測するとともに,その変性が青色光の容量依存的に起こることを確認した。次に,免疫組織化学によって成長因子の検討する予定で準備を進めていたが,青色光の照射装置が故障し,現在修理中である。 2,differential displayによる視性刺激誘導性因子のクローニング 視性刺激遮断による実験近視の発生機序として考えられている網膜の変化について,より詳しく検討する目的で,昨年度,視性刺激を受けた網膜と視性刺激を受けていない網膜との間のdifferential displayを行い,視性刺激を受けた網膜により強く発現している46本のバンドを検出した。今年度はその46本について,reamplification,ドットフロットによるdifferential hybridization,ノーザンブロットによって,false positiveを除外し,確実に差がある3種類のcDNAを単離した。さらに,シーケンスとホモロジー検索を行い,少なくとも増幅された部分については,3種類とも既知の遺伝子とはホモロジーがないことを確認した。現在,その3種類について,ライブラリーからスクリーニングしているところである。
|