研究概要 |
本研究の目的は唾液分泌のメカニズムを、シグナル伝達・遺伝子レベルでの唾液蛋白合成およびそれらのsorting、分泌顆粒の細胞内輸送・開口分泌時の膜癒合という一連の現象を分子レベルで総合的に研究することである。唾液腺における分泌機構のためのシグナリング機能を有するgap junctionはconnexinによって構成されており、臓器・組織によってそれぞれ異なるconnexinが存在するといわれている。我々は、western blotting法、免疫組織化学および免疫細胞化学的方法を用いて、腺房細胞間にはconnexin26とconnexin32が、筋上皮細胞間にはconnexin43が存在することを明らかにすることができた。その結果はThe 10th European Anatomical Congress (Acta Anatomica, 152(4):345,1995)において報告し、J Histochem Cytochem,44(1):49-56,1995にも掲載された。また、amylaseやcathepsin Dの分泌顆粒へのsortingに関する免疫細胞化学的ならびに共焦点レーザー顕微鏡による観察結果についてもThe 10th European Anatomical Congress (Acta Anatomica, 152(4):292,1995)において発表した。さらに、synaprophysin、などの膜癒合関連蛋白の免疫組織化学的局在や、唾液腺腺房細胞内のactin filamentの動態の共焦点レーザー顕微鏡を用いた検討、分泌顆粒の細胞内輸送のプロセスとactin filamentの動態の検索、唾液中に含まれているproline-rich protein(PRP)、 statherin、 cystatin、 amylaseなどの遺伝的多型についての検討も引き続き行っている。
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