研究概要 |
本研究の目的は唾液分泌のメカニズムを、シグナル伝達・遺伝子レペルでの唾液蛋白合成およびそれらのsorting、分泌顆粒の細胞内輸送・開口分泌時の膜癒合という一連の現象を分子レペルで総合的に研究することである。唾液腺における分泌機構のためのシグナリング機能を有するギャップ結合はconnexinと呼ばれる蛋白によって構成されている。それぞれの臓器・組織には異なるconnexinが存在することが知られている。我々は、western blotting法、免疫組織化学および免疫細胞化学的方法を用いて、腺房細胞間にはconnexin26とconnexin32が、筋上皮細胞間にはconnexin43が存在することを明らかにした。このことは腺房細胞における唾液分泌のためのシグナル伝達にはconnexin26および32が、筋上皮細胞の収縮のための情報伝達にはconnexin43が関与していることを示唆している(J Histochem Cytochem,44(1):49-56,1996およびEurop J Morphol,34(3):197-202,1996)。また、腺房細胞間に存在することが知られているconnexin26と32は同一のgap junctionを構成していること明らかにした(Acta Histochemica Cytochemica,sumitted)。唾液腺の発育過程におけるconnexinの発現・局在についてPCR法やin situ hybridyzation法を用いて検索し、興味ある知見を得ている。さらに、分泌時の腺房細胞において、細胞骨格を構成するactin filamentやtight junction構成蛋白(ZO-1およびoccludin)の動態、endocytosisに関与するclathlin,膜癒合関連蛋白のsynaprophysinなどについて、免疫蛍光法や免疫電顕法、共焦点レーザー顕微鏡等を用いて引き続き詳細に検討している。
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