研究概要 |
口腔癌の臨床検体でCGH法が使用できるかどうかを検討するため、はじめに正常細胞の混入のない培養細胞株17例でCGHを行い、その後口腔癌の臨床検体でCGHを施行した。平成7年9月までCGHの結果は視覚的に判定していたが、10月になって画像解析装置がはいり、それまで行った口腔癌由来培養細胞株17例、手術的に得られた癌組織5例について再度CGHを施行し、プロファイル解析を行った。 その結果、培養細胞株17例においてCGHにより認められた共通増幅領域は染色体1q21,3q25-q27,5p,7p11.2-p12,7q21,8q22-p26,10q21,11p13-p14,11q13,13q33,14q,20q13,22q11.2であり、臨床検体5例におけるCGHにより認められた共通増幅領域は染色体3q24-qter,5p,8q,11p13-p14,11q13,20p,20p13.1-13.2であった。また欠失領域もみられたが、多くの症例に共通する欠失領域は認められなかった。 つぎに上記の結果に基づき染色体7p12(egfr)、11q13(hst-1)の座位について、CGH法の結果とサザンハイブリダイゼーション法の結果を比較したところ、強い相関性を認めた。したがってCGHにみられる増幅は特定の癌遺伝子により生じていることが支持された。 以上の結果から口腔癌の臨床検体でCGH法が使用でき、さらに症例を重ね、CGHによる染色体異常領域と臨床及び病理組織学的データと比較することでCGHが口腔癌の遺伝子診断の一つになり得ると考えられた。
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