研究課題/領域番号 |
07407059
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石川 博之 北海道大学, 歯学部・付属病院, 講師 (20184492)
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研究分担者 |
佐藤 嘉晃 北海道大学, 歯学部, 助手 (00250465)
山本 克之 北海道大学, 工学部, 教授 (10088867)
亘理 文夫 北海道大学, 歯学部, 教授 (70158682)
脇田 稔 北海道大学, 歯学部, 教授 (40018916)
中村 進治 北海道大学, 歯学部, 教授 (80001791)
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キーワード | 歯の移動 / 組織変化 / 破骨細胞 / 変性組織 / 応力分布 / 有限要素法 / 歯根膜 / 超弾性 |
研究概要 |
まず組織学の分野では、歯の移動における適切な再荷重の与え方について検討するため、ネコ上顎犬歯を用いて歯の移動実験を行い、初期荷重時と再荷重時における圧迫側歯周組織の経時的変化ならびに歯の移動様相を比較した。なお、荷重の大きさは100gとし、実験期間は初期荷重、再荷重ともに最長4週間に設定した。以上の実験から、再荷重直後に歯頸部では歯槽骨頂付近に破骨細胞の存在しない部位を認め、また根尖部では広範囲の破骨細胞の分布を認めた。これらは、初期荷重時に残存した歯頸部の変性組織および歯槽骨に再荷重による強い圧が加わり、同部の組織修復が遅延するとともに、この部位を回転中心とする好ましくない傾斜移動が行われたことを示すものであった。よって、再荷重時には荷重の減少や歯体移動を考慮する必要性が示唆された。 次に生体力学の分野では、歯の移動時に圧迫側歯周組織に生じる変性組織と応力分布との関連について検討するため、ネコの上顎犬歯に100g4日間の矯正力を加え、歯の移動実験を行った。有限要素解析にあたっては、組織切片のトレースから力学モデルを構築し、また歯根膜のヤング率については、歯-歯根膜-歯槽骨からなる試験片を用いた圧縮試験から直接測定した値である10MPaを用いた。以上の実験から、変性組織はある一定の大きさ以上の圧縮応力のピークの存在下で出現することがわかり、その大きさは少なくとも35KPaより大きいことが推察された。また、特に根尖部では変性組織の出現部位は解剖学的形態に依存性の高いことがわかった。 さらに理工学の分野では、50gの超弾性力を発揮する歯の移動実験用線材料を開発するにあたり、まず市販のNiTi系矯正用ワイヤー9種の3点曲げ試験を行った。これらの荷重-たわみ曲線から、明らかな超弾性特性を示すものは4種であった。現在コイルスプリングの形状への加工法を検討中である。
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