研究概要 |
研究対象としては,抗NP(nitorophenyl)抗体を用いた.抗NP抗体は、マチュレーションの過程で,解離型と非解離型の区別を行う点で興味深い.閉成7年度は,免疫応答の初期に産生される.解離型フェノレートイオンに対して特異性,親和性の低い.モノクローナル抗体NIG9を対象に安定同位体標識NMRにより解析を進めた. 安定同位体標識NIG9の大量調製およびNMRシグナルの部位特異的帰属 無血清培地におけるハイブリドーマの大量培養によりアミノ酸選択的に主鎖アミド基を^<15>Nで側鎖を^<13>Cで安定同位体標識したNIG19を調製した.さらに,パパイン消化により抗原認識フラグメントFabを得てNMR試料とした.また,H鎖,L鎖のいずれかだけを安定同位体により標識したFabフラグメントも調製した. 分子量50Kを越える蛋白質のNMR解析において深刻な問題点として,スピン拡散によるシグナル強度の減少がある.そこでその問題点を回避するために,傾斜磁場NMR測定システムにより,これらの問題点を回避した.傾斜磁場NMR測定を用いることにより,スペクトルのS/Nは,飛躍的に改善された.そこで,安定同位体標識Fabフラグメントを用いて,H鎖L鎖特異的および部位特異的NMR帰属を多次元3重共鳴法により確立した.現在のところ,帰属可能なシグナルに対し,部位特異的な帰属を進めている.
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