発症の「しくみ」が全く異なるアルツハイマー型老年期痴呆SDATと脳血管性痴呆VDについて、「脳活性化訓練」を行った介入群と、それを行わなかった非介入群の長期予後を比較し、介入の長期効果を評価することを目的として本研究を実施し以下の結果を得た。 1)「脳活性化訓練」は、痴呆の中核症状に対してSDATでは効果が確認できなかったが、VDでは多項目で維持・改善が認められた。 2)生命予後に対して「脳活性化訓練」はSDATでは効果が認められなかったが、VDでは改善が認められた。 3)生命予後をよくする要因として、介入以外には、SDATでは「痴呆の重症度」のみ、VDでは「痴呆の重症度」「年齢」「自主的リハビリテーション」「家族の支援」の5要因が認められ、この結果からVDでは介入がとくに重要であると考えられた。 4)生命予後延長に最終的に影響した要因は「介入」「年齢」「痴呆の重症度][VD」であった。 VDでは、介入群は非介入群に比べて生命予後が明らかに延長する結果が得られた。これは、一部の臨床家医が経験しているが、統計学的に対照群と比較したのは本研究が初めてであり、きわめて重要な結果であると考えられた。
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