研究課題/領域番号 |
07407071
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
淀井 淳司 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80108993)
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研究分担者 |
堀 利行 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (70243102)
前田 道之 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (20027329)
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キーワード | レドックス / ADF / thioredoxin / 転写調節因子 / 核タンパク質 / 抗ガン剤 / 細胞死 / 虚血 |
研究概要 |
本研究は、Adult T-cell leukemia derived factor(ADF)/thioredoxin(TRX)を主として細胞内外のレドックス状態の変化や細胞の調節機構について、分子生物学的手法を用いて解析を行うことを目的としている。 まず我々はこれまでにADF/TRXにより直接的および間接的に還元されうる転写因子として、NF-kappa BおよびAP-1について検討を加えてきた。さらに今回、システイン残基が高度に保存されたDNA結合部位であるRunt domainを有する転写活性因子PEBP2に関しても、ADF/TRXの還元活性によりPEBP2のDNA結合能が増強されることを報告している。今後、PEBP2のヒトホモローグであるAML-1についても、細胞内における転写活性化とADF/TRXの関与について検討を加える予定である。また、継続して行われているADF/TRXと相互作用を持つタンパク質の探索については、抗ADF/TRX抗体を用いた免疫沈降法により検出される分子量60kDaのタンパク質が、GST-ADF/TRXにも結合しうること、またこのタンパク質が核分画から検出されることがわかっている。Yeast Two-Hybridアッセイにより検出された、ADF/TRX結合タンパク質の候補のうち、ミンクで同定されているシクロヘキシミドにより誘導されTGF-βにより発現が抑制されるTRT407-2のヒトhomologueについてはタンパク質レベルでの結合能が示され、現在細胞生物学的解析を進めている。 さらにこれまで報告してきた抗癌剤耐性機構へのADF/TRXの関与について、bleomycinによる細胞死においてもADF/TRXが抑制的に作用していることが分かってきた。また、脳虚血マウスモデルを用いた実験でADF/TRXが脳細胞の細胞死よりの防護に重要な働きを果たしていることが明らかとなった。
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