研究概要 |
[方法]ペントバルビタール麻酔犬の左肺下葉(LLL)を、別の犬(ドナー犬)の股静脈血を用いて一定流量で灌流した。シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるイブプロフェン(IBU)12.5mg/kgを前処置後、U46619(thromboxane analog)により平均LLL肺動脈圧(PAP_<LLL>)を約25mmHgに増加させた。低酸素群ではIBU12.5mg/kg前処置後,3%O_2で換気し、LLLを低酸素状態にした。ついでU46619により平均LLL肺動脈圧を約25mmHgに増加させた。この状態でイソフルレン1.2%を、LLL、ドナー犬に同時吸入し、PAP_<LLL>の変化を観察した。 [結果]正常酸素群では1.2%イソフルレン吸入により、PAP_<LLL>は、25mmHgから29mmHgに有意に増加した。一方、低酸素群でも1.2%イソフルレン吸入によりPAP_<LLL>は同様に上昇した。 [考察]正常酸素群におけるイソフルレン吸入の反応は平成9年度以前の研究の結果よりイソフルレンのNO抑制による肺血管収縮作用と考えられる。一方、低酸素状態でも同様の反応が認められたことより、イソフルレンのNO抑制作用は低酸素により影響を受けない可能性が示唆される。 [まとめ]イソフルレンによる肺血管反応はNO抑制による収縮反応と血管拡張性プロスタグランディンにより調節されるが、収縮反応は低酸素の影響を受けないと考えられる。
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