研究課題/領域番号 |
07407080
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 厚 京都大学, 薬学部, 教授 (10025695)
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研究分担者 |
杉本 幸彦 京都大学, 薬学部, 助手 (80243038)
根岸 学 京都大学, 薬学部, 助教授 (60201696)
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キーワード | 遺伝子ターゲティング / プロスタノイド受容体 / 7回膜貫通型受容体 / G蛋白活性化ドメイン / 構造機能相関 / 後根神経節 / 成熟胸腺細胞 / 動脈平滑筋 |
研究概要 |
本研究は、アラキドン酸カスケード産物であるプロスタノイドの有する多種多様な生理・薬理作用を、それを介達する受容体の構造と機能の分子レベルでの解析により明らかにし、生体調節機構を理解することを目的とする。我々は既に、プロスタノイド受容体のうちトロンボキサンA2とプロスタグランジン(PG) F2α、PGI2受容体、及びPGE2受容体サブタイプEP1、EP2、EP3、EP4、EP3については複数種のイソフォーム、等のcDNAクローニングとその構造決定に成功した。本研究はこれらの成果を基に、これら受容体のリガンド結合様式やG蛋白結合ドメインを明らかにし、またこれらプロスタノイドが生体内でいかなる重要性をもつのかを明らかにしようとするものである。当該年度の成果として、我々は、プロスタノイド受容体全てに保存された第7膜貫通領域に存在するアルギニン残基が、プロスタノイド・リガンドの1位のカルボン酸との会合に重要であることをEP3受容体(プロスタグランジンE受容体のサブタイプ)をモデルとして用いることにより明らかにした。また、EP3受容体においては、このアルギニン残基の【.encircled+.】電荷とリガンドの【.encircled-.】電荷との相互作用はGs蛋白の活性化には必須であるが、他のGiやGqの活性化には必ずしも必要ではないことを見出した。本知見は、受容体のリガンド結合部位を同定したのみならず、EP3受容体が複数のG蛋白に対して異なる活性化ドメインを持つことを示唆するものである。一方、我々はまた、PGI2受容体についてその受容体発現部位の同定を行い、大動脈・環状動脈・肺動脈・脳動脈等の動脈系平滑筋や成熟胸腺細胞、リンパ球、巨核球、後根神経節の神経細胞等に発現していることを見出した。現在、これらの部位において既知作用の確認ならびに新たな機能の検索を進行中である。さらに我々は受容体遺伝子欠損マウスの作製を試み、既にいくつかの欠損マウスの作出に成功している。現在、これらの解析に必要な受容体特異アゴニストや解析項目の検討、ならびに解析システムの確立を行っている。今後は、これらのマウス個体について解析を進めることによりプロスタノイドの生理作用の全貌を明らかにする予定である。
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