研究概要 |
本年度は東北大学高速中性子実験室ダイナミトロン加速器により発生させた中性子により、主として収量及び毒性の点から消滅処理にとっても最も重要な核種である^<237>Npの核分裂断面積及び核分裂即発中性子エネルギースペクトルの測定を行った。 まず昨年度に引き続き高純度^<237>Np試料(〜1mg)を用いて(p、n)反応で発生させた単色の8.5〜83.5kevの中性子に対し、5点において^<235>Uを標準試料とするバックツウバック核分裂計数管により、8〜20%の誤差で核分裂断面積を測定した。^<235>Uの核分裂断面積としてJENDL3.2の値を取ると、10KeV附近ではJENDL3.2に近く、一方100KeV近くではENDF/B6の値に近いという結果が得られた。 ^<237>Npの核分裂即発中性子スペクトルの測定は外径(13.8mmφ×120mm)のステンレス製2重管に封入したNpO_2試料(19.99g)を用い、0.62MeVの入射中性子に対し、TOF法により測定を行った。飛行距離は245cm、検出器は入射中性子に対し90°方向に置かれた14cmφ×10cmの液体シンチレータである。結果は1〜12MeVの間に対して得られ、Maxwe11スペクトルに対するフィットにより、Maxwe11温度としてTm=1.28MeVを得た。これはHowerton-Doyasによるυ_1とTmの間の関係式と整合するが、JENDL3.2のTm=1.38MeVよりはやや低い結果であった。 また消滅処理において^<237>Npに次いで重要な核種である^<241>Am(10μg)、^<243>Am(90μg)の試料を用い核分裂断面積を測定した。試料が少量のため(p,n)反応による平均44KeVのMaxwe11型中性子源を用い、^<241>Amに対し37.2mb(誤差7.8%),^<243>Amに対し11.7mb(誤差17%)という結果を得たが、統計誤差の関係から核データファイルに対する評価はできなかった。
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