研究課題/領域番号 |
07408012
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩坂 泰信 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (20022709)
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研究分担者 |
柴山 隆 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (70167443)
長田 和雄 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (80252295)
林 政彦 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (50228590)
松永 捷司 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (60022729)
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キーワード | 赤道成層圏エアロゾル / 気球観測 / 粒径・濃度分布 / エアロゾル化学組成 / 不均一反応 |
研究概要 |
本研究計画は、赤道域成層圏において活発に生成されている成層圏エアロゾルがこの地域の成層圏オゾンの消失反応に寄与しているかどうかを知るために、成層圏エアロゾルの成分や濃度を気球観測によって明らかにすること、およびその結果に基づいてオゾン消失反応に対する寄与を評価することであった。これらの問題を解明するために、インドネシアに於て1996年9月気球搭載したパーティクルカウンターによる成層圏エアロゾルのサイズと数濃度の観測、および気球搭載したインパクター式エアロゾル採集器を使ってエアロゾル粒子を直接採集し粒子の電子顕微鏡観察が行なわれた。1997年の観測は器たる3月に行なわれる予定で準備中である。 1996年に実施された観測では、順調に気球搭載した速記が作動し、初期の目的が達成された。来たる1997年の観測も同様の気球搭載装置で行なわれるので、観測が成功する確立は極めて高いと予想される。 気球搭載型パーティクルカウンターを用いたエアロゾルサイズおよび濃度分布の観測では、成層エアロゾルのピーク高度は、成層圏オゾン層のピーク高度より低く不均一反応によるオゾン消失反応はオゾン層の中心部では不均一反応によるオゾン消失は比較的少ないと考えられた。しかし、下部では進行している可能性もあると考えられる。 直接採集したエアロゾルの電子顕微鏡観察では、成層圏エアロゾルの主成分は硫酸液滴であることが初めて直接的に実証された。 観測された濃度分布を中高緯度での観測と比べて見ると、対流圏界面からエアロゾル層のピーク高度までの距離が大きく、エアロゾルを作る原料物質(カルボニルサルファイド、COS)あるいはエアロゾル粒子が赤道域特有の強い大気の上昇運動の影響を受けていることを示唆していた。このようなことから、上昇運動の強弱がエアロゾルの濃度分布をかなり左右することが考えられ、間接的にはオゾン消失の不均一反応の大きさも左右されることも予想された。
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