研究課題/領域番号 |
07408018
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
八田 一郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70016070)
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研究分担者 |
高橋 浩 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (80236314)
日比野 政裕 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (00242834)
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キーワード | 生体膜 / リン脂質 / 相転移 / X線回折 / 熱測定 / 相互作用 / 分子認識 / インターディジティテッド構造 |
研究概要 |
生体膜上における機能発現過程において、脂質膜がつくるミクロ構造とその熱力学の相関を研究することは重要である。液体中に分散した脂質分子は、自発的に脂質分子が集合することにより、また、液体と固体あるいは気体の界面で自発的に分子配列することにより、規則的な構造を形成する。ミクロな規則構造に基づいて研究を行った。負電荷をもつリン脂質と正電荷をもつポリペプチドの相互作用は、生体膜における基本的な相互作用の一つである。負電荷をもつジパルミトイルオスファチジルグリセロール膜面と正電荷をもつポリリジンの静電相互作用、さらに、より生体膜に近い系として負電荷をもつジパルミトイルホスファチジン酸と中性のジパルミトイルホスファチジルコリンから成る2分子膜の膜面と正電荷をもつポリリジンの静電相互作用について、フリーズフラクチャ電子顕微鏡を用いて研究を行った。ジパルミトイルホスファチジルグリセロールあるいはジパルミトイルホスファチジルコリンを用いることはキイポイントとなる。これらで構成される膜はいわゆるリップル構造をもつので、電子顕微鏡観察を行う場合、それの基づく明確な縞状構造が見える。したがって、膜面とポリリジンの相互作用の状態をこの縞状構造の変形、消失を指標として研究を行うことができる。この結果、酸性リン脂質と正電荷をもつポリリジンの系では、本芽のリップル構造をもつ表面構造の中にリップル構造をもたない平坦なドメインが出現することが明らかにされた。一方、生体膜に近い中性リン脂質/酸性リン脂質から成る膜と正電荷をもつポリリジンの系では、中性リン脂質/酸性リン脂質のリップル構造における周期がポリリジンとの相互作用によって乱れ、ポリリジンがゆるく結合していることが明らかにされた。
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