初期発生における細胞分化と形態形成の分子決定機序

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07408023
• 研究種目: 一般研究(A)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 浅島 誠 東京大学, 教養学部, 教授 (00090564)
• 研究分担者: 福井 彰雅 東京大学, 教養学部, 助手 (80262103)
• キーワード: アクチビン / 形成体 / 頭部構造 / 内胚葉分化 / 胴尾部構造 / 神経形成遺伝子 / 神経誘導 / 植物極化遺伝子

研究概要

イモリとツメガエルの胞胚期のアニマルキャップ(未分化細胞塊)を用いてアクチビン処理によって次の事柄が明らかになった。まずイモリのアニマルキャップをアクチビンで100ng/ml、1時間、処理した後にすぐに2枚の未分化細胞で包んでサンドウィッチにして培養すると胴尾部構造ができてきた。この構造の中には拍動する心臓もみられた。また処理後、しばらくSteinberg氏溶液中で8時間、放置し、その後、サンドウィッチすると今度は目や前脳構造をもった頭部構造がみられた。未分化細胞とアクチビン処理片だけを用いてin vitro系で初めて、体の部域をもつ構造をつくることが可能となった。これはツメガエルを用いた実験でも同様の結果を得ることができた。またアクチビン処理した片からは脊索の他に小腸や肝臓などの分化がみられたので、高濃度のアクチビン処理によって、処理片が内胚葉に分化することも明らかになった。これはアクチビンは単に中胚葉のみならず、内胚葉も分化誘導し、植物極化因子ともいえることを初めて示した。また処理片が未分化細胞に対して、中枢神経を分化誘導することも明らかになったので、この処理片が8時間経った後、サブストラクション法によって新規の神経形成関連遺伝子をいくつかクローニングし、解析された。

研究成果

• [文献書誌] Kinoshita,K.,Asashima,M.: "Effect of activin and lithium on isolated Xenopus animal blastomeres and response alteration at the midblastula transition" Development. 121. 1581-1589 (1995)
• [文献書誌] Yokota,C.,Mukasa,T.,Higashi,M.,Odaka,A.,Muroya,K.,Uchiyama,H.,Elo,Y.,Asashima,M.,Momoi,T.: "Activin Induces the Expression of the Xenopus Homologue of Sonic Hedgehog dunig Mesoderm Formation in Xenopus Explants" B.B.R.C.207. 1-7 (1995)
• [文献書誌] Nakano,H.,Uchiyama,H.,Fukui,A.,Sugino,H.Asashima,M.: "Inhibin /Activin β A-subunit monomer has Xenopus mesoderm-inducing activity" Hormone Research. 44. 15-22 (1995)
• [文献書誌] Yamagishi,T.,Nishimatsu,S.,Nomura,S.,Asahima,M.,Murakami,K.,Ueno,N.: "Expression of BMP-2,4 Genes during Early Development in Xenopus" Zoological Science. 12. 355-358 (1995)
• [文献書誌] Sekiguchi,K.,Yokota,C.,Kaname,T.,Q-Wen-Fan,Kadomatsu,K.,Asashima,M.,Muramatsu,T.: "Restricted expression of Xenopus midkine gene during early development" J.Biochemistry. 118. 94-100 (1995)
• [文献書誌] Ariizumi,T.,Asashima,M.after treatment with activin A: "Haed and trunk-tail organizing effects of the gastrula ectoderm of Cynops pyrrhogaster" Roux′Archives Develop.Biol.204. 427-435 (1995)