研究概要 |
動物の初期発生における卵から幼生への形作りに関する基礎的な重要な結果が次のように得られた。(1)神経形成に関与する遺伝子郡をアニマルキャップ処理後、10時間でサブトラクション法により、新規の遺伝子としてXran,XHMG-2,XIRF-6,XFRP,XGS,XNLRR-1などがクローニングされ解析された。(2)頭部および胴尾部構造が、in vitoro系で初めて証明された。それらはアニマルキャップをアクチビン処理(100ng/ml,1時間)した後、すぐに処理片をサンドウイッチ法で行うと胴部部構造を、8〜10時間前処理してからサンドウイッチ法で行うと頭部構造を誘導することができた。(3)腎管形成に関与する新しい遺伝子の探索と同定を独自の系を用いて行った。その結果、Na-K-ATPase αサブユニット、CIRP,XFKBPなどが新しくクローニングされ、その発現と機能解析がなされた。(4)アクチビンおよびフォリスタチンは卵母細胞への取り込みと結合能について調べられた。^<125>Iでラベルしたアクチビンやフォリスタチンは時間をおって卵母細胞に取り込まれた。また金ココイドでラベルしたアクチビンやフォリスタチンについても電顕で調べられた結果、これらはアクチビン-フォリスタチン-ビテロゲインの複合体をつくって、濾胞細胞を通って卵母細胞に貯蔵されることがわかった。(5)アニマルキャップを高濃度処理したとき心臓や内胚葉化がおこり、それらのことは内胚葉かマーカー遺伝子を使って機能および遺伝子発現が解析された。(6)この時、卵黄タンパク質であるビテロゲニン受容体の遺伝子も新しくクローニングされた。これらのことによって、両生類の初期発生における細胞分化と形態形成の分子機序が多くの点で明らかになった。
|