研究課題/領域番号 |
07408029
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
筏 義人 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (00025909)
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研究分担者 |
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (50211371)
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
富田 直秀 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (50263140)
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キーワード | ポリ乳酸 / 生体吸収速度 / 吸収性繊維 / 圧電性 / 骨形成 / bFGF / TGF-β |
研究概要 |
本研究によって得られた主要な成果の概要は次の通りである。1)ポリ乳酸の生体内分解吸収性速度を乳酸モノマーの種類、共モノマー、重合条件(温度、開始剤濃度、重合時間など)を変えることに大きく変化させることが可能であった。さらに、初期引張り強度なども変えることができた。2)吸収性材料からの担体の中に塩基性繊維芽細胞(bFGF)あるいはTGF-βを包含させてから、動物の体内に埋込むことによって骨形成を同所性のみならず、異所性においても引き起こすことができた。3)ラットの大腿骨にくさび状の磁化金属(サマリウム・コバルト)と同一サイズで同一組成の無磁化金属を打ち込んで静磁場の骨形成に対する効果を調べた。その結果、明らかに磁化金属のほうが骨形成を促進する傾向が認められた。4)ポリ乳酸の紡糸によってポリ乳酸繊維を得た。これとポリカプロラクトン繊維とを組合せることにより、骨接合材を作製した。これは、従来から使用されているステンレス鋼ワイヤに代わるものである。この繊維状骨接合材の締め付けは、ポリカプロラクトン繊維の熱癒着を利用して行った。その結果、時間とともに固定部がゆるんでくるということは起こらなかった。5)ポリ乳酸繊維をねじりながら束ねて作製した紐状ポリ乳酸を長さ方向に引張ったところ、電流が発生した。すなわち、圧電性を示した。この結果は、延伸ポリ乳酸ロッドと同じように、紐状ポリ乳酸を骨折部の固定に使うことによって再手術不要の吸収性骨接合材として機能するばかりではなく、圧電性に基づく骨形成の加速も期待できることを示唆している。
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