研究課題/領域番号 |
07408030
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
桜井 靖久 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20010027)
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研究分担者 |
菊池 明彦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40266820)
鈴木 憲 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90216375)
岡野 光夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00130237)
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キーワード | 温度応答性表面 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / クロマトグラフィー / 親水性 / 疎水性 / 疎水性相互作用 / ステロイドホルモン / ポリペプチド |
研究概要 |
有機溶媒で移動相の極性を変化させる従来の逆相系クロマトグラフィーとは異なり、水系で固定相の極性を外部の温度を変化させることによって制御し、溶質の構造や機能を損うことなく分離・精製を行う新しい水系クロマトグラフィーの開発を目的とし、本年度はより低温で親水性・疎水性を大きく変化させることのできる表面設計の具体化を追求し、この表面を用いて低温で溶質との相互作用を調節することのできるクロマトグラフィーカラムの創出を検討した。ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)は温度に応答して32℃を境に水中で可逆的に溶解・不溶変化をする。疎水性コモノマーであるブチルメタクリレート(BMA)をIPAAmと共重合することにより相転移温度を32℃より低温側にシフトさせたポリマー(IBc)を合成した。このとき、IBcポリマー中のBMA含量を種々変化させた。ポリマーの片末端にカルボキシル基をテロメリ化反応により導入し、アミノプロピルシリカ表面へIBcを片末端でグラフトした。これらの表面の残存官能基定量、X線光電子分光分析によりIBcグラフト表面を解析し、IBcが表面を被覆していることを確かめた。さらに原子間力顕微鏡により表面を観察すると、ポリマーでの修飾前後で表面形状が変化していることが確認できた。このような表面を用いて疎水性の異なるステロイドホルモンの水系での分離を試みたところ、IBc中のBMA含量の増加にともなって相転移温度より低温でもステロイドの分離が達成できることが明らかとなった。さらにこの表面を用いてタンパク質の温度による吸・脱着制御を検討し、アミノ酸残基が21-30程度のポリペプチドを温度制御により分離できることを明らかとした。このとき、ペプチド中の疎水性アミノ酸量と保持時間との相関が認められ、温度応答性高分子修飾表面と溶質との疎水性相互作用を温度で制御することで高度な分離が達成できることを見いだした。
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