研究概要 |
研究成果の主なものは次の通りである。 1. アルコール類の光学分割とX線結晶解析による絶対配置決定に有用な新規不斉補助基であるキラルフタル酸の開発と応用。 2. 鎖状1,2-ジオールジベンゾエート類のCD励起子法による絶対立体化学の決定。 3. 立体障害の非常に大きい生理活性物質フォルスコリンへのCD励起子法の適用と絶対構造。 4. 酵素リパーゼを用いたシクロブチルメタノール誘導体の速度論的光学分割と絶対配置の決定。 5. キラル天然物の全合成に有用なビフェニル化合物の光学分割とX線解析による絶対配置決定。 6. 天然アトロープ異性体ビフラボンの初のキラル全合成に成功。絶対立体化学を実験的に決定し、理論計算の正しいことを証明した。 7. キラル1,2-ジアミン類の絶対配置決定にCD励起子法を適用。C_<2V>-対称性を持つ2,3-Naphthalenedicarboximido発色団が理想的で、強い分裂型CDから絶対配置を決定した。 8. 新規不斉補助基キラルジクロロフタル酸法で光学活性体の合成困難なナフタレンジオール類の光学分割とX線解析による絶対配置決定に成功した。また生体系における代謝産物の絶対配置を決定できた。 9. CD励起子法は、二つの発色団間の励起子相互作用によろ分裂型Cotton効果から絶対配置を非経験的に決定する方法であり、種々の天然有機化合物に適用されてきた。この方法の唯一の欠点は、ジオールやアミノアルコールなど2個以上の官能基を持つ系に限られ、モノアルコールなど単一官能基を持つ系に適用できないことであった。我々は新しい概念により、CD励起子法を単一官能基を持つ化合物系へ適用する戦略を開始した。新規CD補助基を設計し、CDと理論計算による配座解析を組み合わせて、新しい絶対配置決定法を開発できた。
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