研究課題/領域番号 |
07408033
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物有機科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉浦 幸雄 京都大学, 化学研究所, 教授 (40025698)
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研究分担者 |
奥野 恭史 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (20283666)
大塚 雅巳 熊本大学, 薬学部, 教授 (40126008)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 抗癌抗生物質 / DNA切断 / ラジカル発生 / エンジイン / ダイナミシン / C-1027 / エスペラミシン / 分子設計 |
研究概要 |
特異な化学構造と強力な抗癌活性をもつエンジイン抗生物質の構造-活性相関や活性発現機構に関しては国際的に大きな注目を浴びている。本研究では我が国で発見されたクロモプロテイン系エンジイン抗生物質C-1027の活性発現の分子機構解明のために必須であるC-1027とDNAとの複合体の相互作用様式を高分解能NMR法を駆使して解明した。その結果、C-1027エンジインクロモホア-は、ベンゾキサジン環部分で5'-T4・A5間にインターカレートし、マイナ-グルーブ側からDNAに結合していることが明らかになった。また、C-1027クロモホア-3位のラジカルは3'側のA塩基を攻撃し、6位のラジカルは反対鎖3'側のT塩基あるいは中央のA塩基を攻撃していることが示唆された。クロモホア-のH3位はA5塩基のH1'から3.67Aの距離にあり、またH6位はT4塩基のH4'から2.86A、そしてA3塩基のH4'から2.89Aの距離にあることが評価され、クロモホア-芳香環ビラジカルによるこれら核酸塩基のデオキシリボースのプロトン引き抜きを示唆している。さらに、C-1027クロモホア-がある種のRNAに対してDNAと同様の切断反応を引き起こすことを見出した。他方、作用機作に基づく新規分子設計の面では新しいインターカレーターや糖鎖を導入したエンジインアナログを合成し、高いDNA切断活性と細胞毒性を有することを明らかにした。特に、新しい糖鎖を導入した新規エンジイン化合物は抗癌活性や生体標的の面から今後の発展が大いに期待されるなど、本研究で得られた成果は国際的に高い評価を受けている。
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