研究概要 |
我々はすでに、EPOに応答して分化する赤芽球SKT6細胞においては,EPO受容体で活性化されたSTAT5がこの細胞の分化に重要であるとの結果を得ている。retrovirus vectorでbicistronic expressionを用いてEPOで活性化されるシグナル分子などを胎生肝由来の血液細胞に導入し、赤芽球分化への関与を検討した。結果は基本的にはSKT6細胞で得られた結果を支持するものであった。この発現システムは初代培養細胞に遺伝子導入し機能を調べることができるので、今後様々な系での応用が可能であると思われる。 マウスOSM受容体のcDNAをクローニングして、機能的なOSM受容体の再構成を行った。マウスOSMはOSM特異的なOSM受容体β鎖とgp130からなる受容体にのみ作用し、ヒトとは異りLIF受容体にはcrossしないことを示した。OSM受容体遺伝子座の決定を行った。さらに、現在OSM受容体遺伝子のノックアウトマウスを当研究室にて作成中である。 我々はOSMが造血発生の場として知られている胎生期のAGM(aorta/gonad/mesonephros)領域由来の細胞を培養するin vitro系にてOSMが血球産生と血管内皮細胞に共通の前駆細胞hemangioblastsに作用する可能性を示した。そこで、この培養系を用いて、血球産生に必須な転写因子c-myb,AML-1の作用を解析した。また、hemangioblast様の細胞株を樹立し、この細胞でOSM誘導性遺伝子の探索を行い、stress誘導性のGADD45とMyD118に類似した新規遺伝子OIG37を得た。OIG37には細胞増殖を抑制する機能が見いだされた。
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