研究課題/領域番号 |
07409010
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研究機関 | 奈良国立文化財研究所 |
研究代表者 |
黒崎 直 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 室長 (60000494)
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研究分担者 |
花谷 浩 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 主任研究官 (70172947)
橋本 義則 山口大学, 文学部, 助教授 (60164802)
深澤 芳樹 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 主任研究官 (40156740)
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キーワード | トイレ / 寄生虫 / 人糞利用 |
研究概要 |
昨年度行った全国的研究集会の成果を中心とした研究実績をもとに、研究の一層の深化をめざした。 本年度は、まず、既知のトイレ遺構に関わる情報、具体的には、所在地、時代、形態、あるいはトイレ遺構の土壌サンプルから得られた動物、昆虫、寄生虫、植物、花粉などのデータを画像資料中心にコンピュータ入力し、データベースの構築を行った。その過程でトイレ遺構の形態が、時代的にあるいは地域的にどのようなバリエーションをもち、かつ変遷しているか見通しをもてるようになった。これまでのトイレ遺構の検出例が、主には遺跡発掘調査者の問題意識、つまりトイレ遺構と考えて土壌分析を行うか否かに関わっており、それを克服するためにも、トイレ遺構の考古学的認定法あるいは簡便な分析手法の確立が急務とされることも明らかとなった。さらに、トイレ遺構の上部構造-厠-についても、資料の蓄積が進んでいる。 それらの実績をふまえ、本年度も研究集会を開催した。研究集会のなかでは、トイレ遺構の認定方法が一層確立されただけでなく、糞便の肥料への利用に関わる問題、あるいは集落や居館の中での、空間的位置の問題、さらに儀礼との関わりや広報・展示を目的とした復原的研究を通し、トイレ遺構が当時の社会状況の具体的、実感的復元に有効であることが示された。
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