研究課題/領域番号 |
07451001
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山形 頼洋 大阪大学, 文学部, 教授 (60030178)
|
研究分担者 |
鷲田 清一 大阪大学, 文学部, 助教授 (50121900)
塚嵜 智 大阪大学, 文学部, 教授 (30007455)
浅野 遼二 大阪大学, 文学部, 教授 (90030022)
里見 軍之 大阪大学, 文学部, 教授 (50066685)
溝口 宏平 大阪大学, 文学部, 教授 (80116178)
|
キーワード | 感情(パトス) / 気分(情態性) / 現象学 / ロゴス主義の破綻 / 解釈学 / 身体と感情 / 事実性の解釈学 / コミュニケーション |
研究概要 |
本年度は、当研究課題における研究実施の初年度に当たるため、研究実施計画に掲げられた通り、まずそれぞれの研究分担者が各々の分担領域に応じて個別に従来の感情論(気分の問題も含む)の再検討と、解釈学に対する方法論的反省と吟味を基礎作業として行うとともに、他方でいくつかのグループに別れてテーマ別に研究協力者にも参加を願って以下のような研究発表会および文献解読のための研究会を実施した。全体の研究発表会は1度開催され、生命哲学およびヘーゲル哲学それぞれの領域から感情(パトス)がそれぞれの思想領域において果たしている役割と意義について報告がなされた。また個別にグループに別れて3度研究発表会がもたれ、ハイデガ-哲学と西田哲学および三木清の哲学をテーマとして生ないし存在と感情の問題が比較思想的観点と手法とによって検討吟味された。それは西洋哲学と日本哲学との共通性と差異を明らかにする試みでもあったが、その結果、近代西洋哲学特有のロゴス主義の破綻を明らかにすることを通じて、感情の開く特有の地平を的確に捉そえの構造と特性とを明らかにすることの現代哲学にとっての必要性がより一層明確になってきたといえよう。その具体的な解明の作業は次年度以降の課題となる。またこうした研究発表とは別に毎月1度、初期ハイデガ-の事実性の解釈学についてのいくつかのテクストを精密に分析かつ解釈し、そこにみられる解釈学の基本的な理念と構造、および感情(気分あるいは情態性)が事実的生(現実)の開示に果たす役割の解明が試みられてきたが未了であり、最終年度までには初期作品すべての検討を終え、解釈学、生、感情についての存在論的視点からの解明の結果をまとめたい。なお、身体と感情の関係の解明、コミュニケーションにおける感情の機能の解明、さらに現象学的方法による感情論の可能性の検討等が今後の検討課題として残された。
|