研究課題/領域番号 |
07451002
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
大谷 啓治 上智大学, 文学部, 教授 (30053557)
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研究分担者 |
荻野 弘之 上智大学, 文学部, 助教授 (20177158)
渡部 菊郎 上智大学, 文学部, 助教授 (30191810)
K. リーゼンフーバー 上智大学, 文学部, 教授 (60053633)
鈴木 宜明 上智大学, 文学部, 教授 (30053531)
J フィルハウス 上智大学, 神学部, 教授 (70053501)
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キーワード | 自由学芸 / 中世思想 / 文法学 / 論理学 / 修辞学 / 幾何学 / カロリング・ルネサンス / スコラ学 |
研究概要 |
教父時代から12世紀半ばまでを扱った前年度の研究を踏まえ、本年度は12世紀後半から始まり16世紀ルネサンスに至るまでの自由学芸の発展を解明した。自由学芸の三学において1130年代からのボエティウスの新論理学の採用によって従来の論理学の範囲が拡大されるとともに、12世紀後半からのアリストテレス哲学受容に基盤が整えられるようになり、その時代まで修道院神学において存続した修辞学的電灯は弱体化され、トピカは演繹的論理学へと変容し、また文書法などの形式的術へと空虚化された。それによって生じた論理学の支配的な立場に対し、イタリア・ルネサンスにおいて古典的修辞学に再び中心的役割が認められる反動が起こった。また文法学も12世紀からプリスキアヌスとアリストテレスにもとづき次第に論理化され、13世紀半ばに哲学的に展開された思弁文法学へと発展することにより、論理学に結びついた。こうした論理学・弁証論の強化により、1200年頃から盛期スコラ学と大学における自由学芸学部の成立に道が開かれ、13世紀後半にトマス・アクィナスは哲学を自由学芸から原則的に解き放ち、独立した学問として成立させるとともに、すでに12世紀サン=ヴィクトル学派に見られた自由学芸の主として思考形式としての解釈によって中世末期におけるその二次的な位置づけを根拠づけた。また四科はすでに12世紀の文学的プラトン主義的ルネサンスにおいて三学に対し重要性を失い、13世紀のアリストテレス的学問論において一方で天文学は自然学に、他方で算術・幾何学は数学に組み入れられることによって、独立した学問群として解消されたが、14世紀の数学的自然理解と技術の発展を準備する要素となった。さらに15世紀ルネサンスにおいて三学に歴史学・哲学的論理学・詩学が結合されることによって、ルネサンスの「普遍人」理念に教育的基盤が与えられ、それはギムナジウムにおいて形態化されることによって近世・近代の中等教育の原動力の1となった。
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