研究課題/領域番号 |
07451003
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福田 殖 九州大学, 文学部, 教授 (80036970)
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研究分担者 |
横畑 茂明 九州大学, 文学部, 助手 (90263988)
疋田 啓佑 福岡女子大学, 文学部, 教授 (90044536)
川勝 賢亮 九州大学, 文学部, 教授 (70037000)
柴田 篤 九州大学, 文学部, 助教授 (00117128)
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キーワード | 黄宗義 / 明儒学案 / 版本 / 陽明学 / 朱子学 / 心学 / 理学 / 良知説 |
研究概要 |
『明儒学案』関係資料の調査・収集を行ない、検討考察した結果、次のような点が明らかになった。 1.賈本・鄭本・莫本の三種の版本の成立及び異同を比較検討し、各種版本の特色と優劣について究明し、定本としては鄭本系統のものが適当であるとの結論に達した。 2.差十の「姚江学案」中の「陽明伝信録」を取り上げ、その原本である『劉子全書』と比較検討を加えた結果、部分的に省略が見られ、英宗義による編集が行なわれていることが判明した。 3.差十八の「江右王門学案三」の「文恭羅念庵先生洪先」の「雑著」に入れられている「己亥冬遊記」「戊申夏遊記」「甲寅夏遊記」をその原本である『石蓮洞羅先生文集』(万暦本)『念庵羅先生全集』(雍正本)によって比較検討した結果、『明儒学案』所収は抄録であるだけでなく、王龍沃と羅念庵の問答で思想転採にかかわる重要な場面の核心部分が省略してあり、文脈上意味不鮮明な箇所があることが判明した。 4.差十九の「総良器」の小伝に見られる、王龍沃が王陽明に師事するに至る経緯は、表宗道の『白蘇斎類集』にも見られるが、両者を比較検討した結果『明儒学案』の方が学術史資料としては優れていることが判明した。 また、月に一回あるいは二回の研究会を開いて、『明儒学案』の原典講読を行なうと共に、研究分担者の課題を中心に情報交換を資料分析について討議を行ない、黄宗義の編案意回・成立過程・思想史観がある程度明らかになった。さらに、『明儒学案人名索引』の完成を二年後に設定し、その準備段階を終了した。
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