研究課題/領域番号 |
07451007
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 高野山大学 |
研究代表者 |
松長 有慶 高野山大学, 文学部, 教授 (30086029)
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研究分担者 |
奥山 直司 高野山大学, 文学部, 助教授 (50177193)
乾 仁志 高野山大学, 文学部, 助教授 (30168421)
藤田 光寛 高野山大学, 文学部, 教授 (90113191)
生井 智紹 高野山大学, 文学部, 教授 (80113190)
越智 淳仁 高野山大学, 文学部, 教授 (80086032)
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キーワード | 密教の形成過程 / 神変 / 儀軌化 / 呪法の内面化 |
研究概要 |
大乗仏教と密教との関連について、従来、学術的な研究はほとんど行われていなかった。大乗仏教はインド仏教の伝統を踏むが、密教は呪法の宗教として、異質のものと考えられていたことが最大の理由である。 研究代表者は永年、大乗仏教から密教への展開を研究してきたが、今年度から7名の研究者の協力を得て、毎月、定例の研究会を開催し、各研究協力者の研究発表を中心に、活発な討議を重ねてきた。その結果、まだ充分な学術論文として発表する段階には至っていないが、およその展望を持つことができた。その成果に基き、平成8年度と9年度にかけて、さらに研究を進め、完成を期したい。 平成8年度の研究成果の総括として、平成8年1月16日、高野山大学において、公開研究会として、研究代表者が「呪法と大乗思想」と題して研究発表を行い、その後、質問を受け、さらに討議を重ねた。 従来、神秘的な事象はすべて、呪法として片づけられてしまうきらいがあったが、インド仏教における密教の性格を考える場合、以下の3点に分けて、個別的に研究すべきである。すなわち、 1、神変の問題、 2、大乗思想の儀軌化の問題、 3、呪法の内面化ないし仏教化の問題である。 1、神変の密教のみならず、初期の仏教から付随する宗教としての重要な要素であるが、インド仏教史の中に、その系譜をたどる。 2、大乗仏教の特色ある思想が、密教において儀礼として変化する過程を追う。 3、ヨ-ギン(呪法者)たちの呪術が、仏教に取り入れられ、次第に仏教の思想によって肉付けされ、さらに内面化されていく過程を探る。 以上の問題点を明確化したのが今年度の最大の成果であるが、さらにこの線を中心に、課題の研究を進めたい。
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