研究課題/領域番号 |
07451007
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 高野山大学 |
研究代表者 |
松長 有慶 高野山大学, 文学部, 教授 (30086029)
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研究分担者 |
奥山 直司 高野山大学, 文学部, 助教授 (50177193)
乾 仁志 高野山大学, 文学部, 助教授 (30168421)
藤田 光寛 高野山大学, 文学部, 教授 (90113191)
生井 智紹 高野山大学, 文学部, 教授 (80113190)
越智 淳仁 高野山大学, 文学部, 教授 (80086032)
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キーワード | 密教の形成過程 / 神変 / 儀軌化 / 呪法の内面化 |
研究概要 |
大乗仏教における密教の形成過程の研究のため、昨年度の基礎研究において、問題を集約した以下の3点を中心として、毎月定期的に研究会を開き、学外からもこの問題に関連を持つ研究者を招き、個別的な研究をすすめた。すなわち 1.神変の問題 2.大乗思想の儀軌化の問題 3.呪法の仏教化の問題 である。そのうち 1.大乗経典の代表として『華厳経』を取り上げ、その中に説かれる神変と加持の思想を、密教の代表的経典である『大日経』の中にさぐった。『大日経』では、『華厳経』において、仏、菩薩が衆生教化のために光をもって示す超自然的な威力の意味を継承するとともに、それを具体的な三密の行に昇華させている点を確かめた。来年度は大乗の他の経典の内容にも考察をすすめる予定である。 2.『金剛頂経』に説かれる積極的な肯定の思想の源泉の一端を、『維摩経』『首楞厳経』などにたどった。それは大乗仏教の儀軌化の問題ともつながる。 3.呪法の仏教化の問題として以下の点を明らかにした。本来は仏教の枠外にあった呪法や儀礼が、初期の密教経典の中に次第に組み込まれ、7世紀の中期密教経典になると、それは成仏を目的とする観法に変化し、攘災を目的とする呪法は姿を消す。8世紀以降になると、呪詛の法がふたたび仏教タントラの中に出現するが、それは単なるブラックマジックではなく、空をはじめとする大乗思想に裏付けられたものであることが明らかとなった。
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