視野の上下あるいは左右を逆転させた変換視野への順応に、視覚系の機能的変化が伴うか否かについて、長く論争が続いてきた。本研究室でニホンザル3頭に左右逆転プリズムを装置させ、約2ヶ月間の順応期間をおいた後に、大脳皮質視覚領の細胞活動を記録したところ、驚くべきことに、視野の左右両方に受容野を持つ細胞が、第一次視覚野で数多く発見された。これらの細胞は、線分の傾きあるいは運動方向には全く選択性を示さなかったが、刺激の点滅には良く応答した。これらの結果は、変換視野への順応に視覚系の機能変化が伴っていることを示している。
|