現代社会の働き方に異変が生じていることに着目し、「新しい働き方」を模索する動きを研究テーマとした。研究は、ふたつの対象に分けて進められた。一つは、生活クラブ生協の中から生まれた、女性のワーカーズコレクティブである。東京都内の14ワーカーズを対象にアンケート調査を実施し、10年間の発展の実態を調べた。また、「凡」を事例研究の対象としてとりあげ、12年間にわたる歴史を明らかにし、またメンバー個人に焦点をあて、メンバーの内側から、また運動が内包している矛盾や葛藤に焦点をあてて分析した。 もうひとつは、高齢者協同組合をとりあげ、高齢者にみる「新しい働き方」をもとめる動きがどのように展開しつつあるかを、いくつかの事例を調査して分析した。また、中年男性が、従来の男性の生き方を問い直すなかで結成されたじゃおクラブを対象にして、男性の自己変革の試みを調べた。その結果、ポスト産業社会における仕事や働くことへのとらえ直しが、女性と高齢者のなかに確実に生まれていることを確認した。また、現役男性のなかにも、女性や高齢者と共通する問題意識とム-ブメントが生まれつつあることが確認された。以上の諸ム-ブメントは、ポスト産業社会への移行期に対応する新しい実験ととらることができた。
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