(1)研究課題の分析に必要な国内外の文献及び資料の収集及び分析を行った。特に日・英・米の共働き家族に関する実態把握と研究上の知見の比較分析を行った。アメリカにおける民間保育施設中心の育児、イギリスにおける反施設主義的育児観のもとでの社会的保育施設の未整備状況との比較において、高度経済成長期以降の日本の共働き家族の育児の特徴をつまびらかにしえた。 (2)基礎的統計資料の作成・検討をとおして、第二次正解大戦後、半世紀にわたる統計的変容過程の跡づけを行った。1960年代から70年代中葉にかけての共働きと、70年代中葉から今日にいたる共働きの間に、担い手の意識や社会的支え等に関して、質的な相違がある事実がうかびあがった。 (3)研究課題の分析に必要な基礎的調査の実施(札幌市内の小学校勤務の全女子教員対象1200事例回収)及び分析をとおして、作業仮説1-性別分業の解体と非解体の混在-の検証をなしえた。 (4)全国20カ所の保育所に乳幼児を預けて働く父母を対象とする調査(800事例回収)の実施及び分析をとおして、作業仮説2-パーソナル・ネットワークとソーシャル・ネットワークの相補関係、作業仮説3-育児における父親役割の変容過程の検証をなしえた。 20〜30年前にA職場保育園を卒園した園児を対象とするインテンシヴな追跡調査の実施(30事例回収)及び分析をとおして、作業仮説4-矛盾の統体としての共働き家族の父母と子どもの関係、及び、作業仮説5-共働き家族の子供の意識の発達段階に対応する変容-の検証をなしえた。
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