地球社会時代の到来が唱道されはじめてから久しいが、これに対応するグローバリズムの意識は、歴史的経緯もあって、日本人に広く共有されているとはいいがたい。日本人の世界意識・国際意識は、自国日本に関わる意識に強く規定されており、その自国意識には、少なくとも欧米の場合とは異なる特徴があり、そして、偏狭なナショナリズム、エスノセントリズム、国益主義といった、自国に関わる強固な意識が、日本におけるグローバリズム意識の発達を阻害していると考えられる。 以上に関連して、まず、日本における自国意識(ナショナリズム、エスノセントリズム等)と世界意識(インターナショナリズム、グローバリズム等)の歴史的な流れが検討され、現在の世界状況において、望ましい自国意識、世界意識のあり方が検討された。 これらの検討に基づき、日本人の世界意識と自国意識に関わる価値意識がダイナミクスを体系的に把握する調査の枠組みを作りあげるために、東京女子大学と横浜国立大学の学生とその父母を対象として、予備調査がおこなわれた。調査項目は、世界意識・国際意識、自国意識、ライフスタイル、外国接触度、デモグラフィーなどである。 学生たちを対象とする予備調査の結果の分析から、学生たちの世界意識・国際意識と自国意識の構造が検討され、グローバリズムの意識との関連が特に深い他の意識、グローバリズムの意識の発達を阻害していると考えられる他の意識が明らかにされた。 さらに父母を対象とする予備調査の結果を併せて分析することで、世界意識・国際意識と自国意識についての世代差、および、世代間における伝達の程度が、検討された。
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